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小島貴子所長のダイバーシティ・ラーニング

第3回 OECDが言及している事

小島 貴子

投稿日時:2016年09月18日

OECDによる見解
 最近、OECDが日本の教育に言及しています。
具体的に何を言っているかというと、日本人は勤勉で知識もあるが、自信、行動力、忍耐力、情熱、リーダーシップ、協調性、コミュニケーション力、批判的思考、関連付ける能力、想像力、好奇心、行動的・社会的スキルが欠けていると。

悔しいですが現実的にはこれらの事は日本人が弱いと言える事象です。

こうしたものがないとダイバーシティの社会は作れないということです。

実は私が5年間にわたって進めているダイバーシティ・ラーニングという教育は、図に書かれている「メンバーシップとリーダーシップ」および「柔軟思考ワーク」を行っています。
この2つの教育を進めることで、ダイバーシティ推進が実現するのです。

 OECD教育局指標分析課長のアンドレア・シュライヒャー氏が2009年に発表した分析によると、アメリカで最も需要の多い10の職種は、2004年時点では存在していなかった。こうした新たな職が生まれる潮流は今後も続くとのことです。
これからどんどん新しい職が生まれて、過去にあった職がどんどん消えていく。

そういうときに、女性活躍ではなく、女性も活躍するし、シニアも活躍する、みんなが活躍するために、ひとり一人が違って、柔軟になるという発想と思考と言動ができることが、ダイバーシティの推進になります。

第二回 新しい働き方が生れるダイバーシティ

小島貴子

投稿日時:2016年08月30日

【思考の再構築】

 今までの物の見方、考え方、思考パターンなど従来の思考は、解体されつつあります。

私たちは個人特有の思い込みや固定概念や価値観を持っていますが、それらはさまざまな状況によって変えていかなくてはいけません。とはいっても、私たちは社会的な集団の中で生活しているので、暗黙のルールや集団の常識にも影響されています。
 しかしそういうものに影響されつつも、新しい物の見方、考え方、思考パターンを再構築していく必要があるのです。

「あなたと私は同じ会社にいるけれども、あなたと私の考えは違って当たり前。だけど、あなたのいい考え方と私のいい考え方を合わせて、もっと価値のあるものを作りましょう」という考え方が、これからの新しい働き方の思想になっていくと思います。

 ダイバーシティに必要な思考とはどのようなものなのでしょうか。
またダイバーシティを進めることで、どのようなことが起こるのでしょうか。

思考の幅を広げる。
思考の方向性=考え方の可能性を広げる。
解答=唯一の正解はなく、たくさんの解答がある。
考え方=自由奔放に発想し、直感を大切にする。
あらゆる前提から自由になる。
そして、今までにないものが生まれるのです。

さらに新しいものが生まれることによって、会社の風土が変わっていき、社員のモチベーションも変わっていきます。

第一回 新しい働き方生まれるダイバーシティ社会

小島貴子

投稿日時:2016年08月11日

 新しい勤勉(KINBEN)とは?
 2016年7月14日に財務省と厚生労働省が「働き方改革」原案を発表しました。
長時間労働、同一労働・同一賃金、最低賃金、130万円の壁、解雇の金銭解決制度、雇用保険料、育児休業などの検討課題に対して、それぞれ対策の方向性が示されています。

実はこれに先駆けること2015年、PHP総研が「新しい働き方研究会」を発足。
私もメンバーとして名を連ねています。

この会では「新しい勤勉(KINBEN)宣言から」を合言葉に、新しい働き方とは何なのかを追求。具体的には、第一次産業革命期(勤勉革命・労働集約→農業の生産性向上・勤勉の素地の形成)→第二次産業革命期(明治維新後の近代化および高度成長)→第三次産業革命期(失われた20年…低い生産性、さまざまな雇用問題、人口減少・少子高齢化などの課題)を経て、これから「新しい働き方」で幸せと活力ある未来を創るためには、何が必要なのかを検討中です。その中で現在の問題をしっかり考えましょうと…。

1つ目は人口問題(人口減少、少子高齢化、生産年齢人口の減少等)
2つ目はさまざまな雇用問題(長時間労働、健康問題、働き方の格差等)
3つ目は低い生産性(経済の衰退、長時間労働等)

これらに対して「新しい勤勉(KINBEN)宣言」では、労働時間の長さではなく、時間当たりの生産性の高さ、つまり時間の長さではなく、質を高める必要があるという話をしています。

さらに新しい働き方の3原則として、①生涯にわたって多様かつ柔軟に働くことができる、②幸福感と生産性とを両立させる、③マネジメント力と自律力の向上で調和をはかる…ということを掲げました。

さて、私個人として新しい働き方を推進する為にどのような事を考え、進めているを少しご紹介します。

1・現実を把握することから始める
 新しい働き方を提言するにあたっては、今の働き方のどこが悪いのかを考えてみる必要があります。もしかすると良し悪しではなく、「現実」と合わない状態になっているのではないでしょうか?では、どんな「現実」なのかを、考えてみましょう。

 私の仕事は、いくつかの企業様を対象に、採用・育成・成長に対してプログラムを作成することです。
その際の作り方の簡単なフローをご紹介します。
現実から課題・目標までのプロセス設定として、まずは現実を理解し、それを共有すること。次に問題を見つけること。
そして最後に企業・個人に必要な目標設定をすること。これが理想・目標・課題に対して進めていくための簡単なプロセスです。

 「現状」と「あるべき姿」を正確に把握し、「現状」が「あるべき姿」になることを阻むいくつかの問題を見極めて、「現状」を「あるべき姿」に近づける方法を考える必要があります。問題とは、理想と現実にギャップがある状態のことです。

いつも言っているのですが、「理想」とは「現実には起きていないこと」であり、私たちが考えなくてはいけないのは、実際に起きている現実なんです。

それなのに、「こうなったらいいな」「ああなったらいいな」ということをまるで現実のように考えて、このギャップに対して文句を言ってしまいがちです。そのため、仕事をするときには、このギャップを埋める必要があります。

ダイバーシティも同様です。シニアが現役でバリバリ働いて、女性も活き活きと仕事をする…、これは、ある意味理想です。
この理想が現実になったら素晴らしいです。この理想を現実にするための、このギャップを埋めることが、ダイバーシティの解決に繋がります。逆に言えば、現実をきちんと把握しないと、このギャップは埋められません。

 また、事実とイメージが混同していると、的確な目標設定はできないでしょう。

事実とイメージとでは具体的にどのような違いがあるのか。例えば、結婚した女性は戦力になり難い。子供がいると出張などできない。これらは先入観であり、イメージです。事実は、仕事の意欲は「性別」ではなく「個人差」「個人やその時々の状況」。
子供がいても働き方で対応はできます。事実とイメージはきちんと分けて、事実に対しての解決策を考えなくてはなりません。

2.新しい勤勉(KINBEN)に基づいた新しい働き方の3原則

 では新しい働き方の3原則について、もう少し詳しく説明いたします。
1つ目は、「生涯にわたって多様で柔軟に働くことができる」。年齢、性別、精神的・身体的障がいの有無を問わず、働きたいと思うすべての人々が、個々人の適正とライフコースに応じて、多様な選択ができ、柔軟に働くことを、企業内だけでなく広く社会全体で可能にする必要があります。また働くことは、私たち一人ひとりにとって安定した生活を送るための基盤であるだけでなく、社会や人と関わり、生きがいを感じる機会であるという認識を持って、その充実を目指していかなくてはなりません。

 2つ目は、「幸福と生産性の両立」。新しい働き方は、働く者の幸福感を増進させるために、多様かつ柔軟でなければなりませんが、同時に生産性が高くなければ、個々の企業はもとより、社会全体の持続性を保つことができません。したがって、仕事における勤勉を測る尺度を、労働量ではなく、時間当たりの生産性を重視するものに転換すべきであるのです。

 3つ目は、「マネジメント力と自律力の向上と調和」。多様で柔軟に働くことができ、時間当たりの生産性が重視される社会においては、従前の労働時間を基準とした労務管理では対応が困難になります。企業には、働く人個々人の状況や意識に応じて、組織全体としての調和を保ちながら、生産性を高める新しいマネジメント方法の確立が不可欠です。一方、働く者には、家族や所属組織なども含めた他者や全体との調和を意識しながら、自己最適となるキャリアやライフスタイルを形成していくことが求められます。

3・ダイバーシティを二極で考えてみる

 私は、仕組みや制度では、ダイバーシティ社会にはならないと思っています。制度では届かない「モノ」=「変化する状況」と「気持ち」にもっと目を向けなければなりません。また、女性・シニア・LGBT(性的マイノリティ)・ハンディキャップ等の方々への支援=弱者という視点の見えているところだけでなく見えるようにしませんか?
非力な人と非力でない人を分けている時点で、大きな差別だと感じます。
そうではなく、新しい思考と新しいコミュニケーションが必要です。そして誰もが持っている「心の壁」を理解することが重要だと思います。

そこで私は、ダイバーシティは二極で考えました。
1つ目は、個人と社会・企業間の理解のダイバーシティです。これは女性(活躍推進)、シルバー(労働意欲と仕事)、雇用形態(非正社員)、家族変化(単身者増加)、少子化(労働人口)などが挙げられます。
2つ目は、社会と世界の理解のダイバーシティ。これは国際化、移民問題、宗教、政治、性別、偏見(価値観の相違の壁)、教育などです。ダイバーシティの概念は非常に広く、すべてをひと括りにしても、問題解決にはなりません。このように2つに分けて、整理して考える必要があります。

4.思考の再構築
 また今までの物の見方、考え方、思考パターンなど従来の思考は、解体しつつあります。私たちは個人特有の思い込みや固定概念や価値観を持っていますが、それらはさまざまな状況によって変えていかなくてはいけません。とはいっても、私たちは社会的な集団の中で生活しているので、暗黙のルールや集団の常識にも影響されています。しかしそういうものに影響されつつも、新しい物の見方、考え方、思考パターンを再構築していく必要があるのです。「あなたと私は同じ会社にいるけれども、あなたと私の考えは違って当たり前。だけど、あなたのいい考え方と私のいい考え方を合わせて、もっと価値のあるものを作りましょう」という考え方が、これからの新しい働き方の思想になっていくと思います。

2回目以降では、更に踏み込んでお伝え致します。

ダイバーシティ・ラーニングについて

小島貴子

投稿日時:2016年07月13日

 私達多様性キャリア研究所が開発研究をしている新しい教育プログラムについて、少しお話しをさせて頂きます。
 21世紀は、不確実で変化のスピードが速い社会です。新しい社会へ移行するためには、新しい視点と柔軟な思考が不可欠となります。そのために、ダイバーシティ社会を理解する新しい多様性社会教育の普及促進が必要です。私たち多様性キャリア研究所では、思考を柔軟にする教育プログラムの開発を進めております。ダイバーシティ社会への理解が深まり、広がることは、個々人の仕事や生き方の選択肢を広げ、将来の可能性を高め、自律的な人を育成する事です。多様性社会への理解は、企業の創造力と協働力を高め、成長をもたらします。 その力は、社会の活力を甦らせ、持続可能性を高めます多様性社会の実現のための教育、それが「ダイバーシティ・ラーニング」です。これまでの、様々な人財育成の実践から、これからに必要な多様性社会教育を開発普及していきます。

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